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世界記録更新、4コア光ファイバで毎秒319Tbps・3,001km伝送達成

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広帯域波長多重技術・光増幅方式を駆使した伝送システムを構築

 NICTネットワーク研究所のベンジャミン パットナム主任研究員らのグループは、研究開発用の標準外径(0.125mm)4コア光ファイバを用い、波長多重技術と2種類の光増幅方式を駆使した伝送システムを構築し、毎秒319Tbps、3,001km伝送実験に成功したと発表した。この結果は、伝送能力の一般的な指標である伝送容量と距離の積に換算すると、957Pbps×kmとなり、標準外径光ファイバの世界記録(NICTによるこれまでの世界記録の約2.7倍)となる。
 NICTは「本実験結果の論文はOFC2021にて非常に高い評価を得て、最優秀ホットトピック論文(Post Deadline Paper)として採択され、現地時間6月11日に発表した」という。

今回の成果と、これまでに報告された標準外径光ファイバの伝送容量距離積。


今回の伝送システムの一部(ラマン増幅部)

 今回は、C帯、L帯に加え、利用が難しいS帯も用いて広帯域化し、552波長多重と16QAM変調方式により、319Tbpsの大容量を実現した。さらに、希土類添加ファイバを使った増幅器とラマン増幅を組み合わせた周回ループ実験系を構築し、3,001kmの長距離伝送に成功した。
 標準外径光ファイバは、実際に敷設するケーブル化の際に、既存の設備を流用することが可能で、大容量長距離基幹系通信システムの早期実用化が期待できる。Beyond 5G以降では、新しいサービスにより爆発的に通信量が増加することが予想される。今回の成果は、Beyond 5G以降における多くの新しいサービスの普及を支える基幹系通信システムの実現に貢献するものとなる。

今回開発された伝送システム

伝送システムの概略図

① 552波の異なる波長を持つレーザ光を一括して生成する。
② 光コム光源の出力光に偏波多重16QAM変調を行い、遅延差を付けて擬似的に異なる信号系列とする。
③ 各信号系列は4コア光ファイバの各コアに入射する。
④ 69.8 km長の4コア光ファイバを伝搬後、S、C、L帯それぞれの光増幅器によって伝送損失を補償し、周回スイッチを経由して4コア光ファイバに導入される。このループ伝送の繰り返しにより、最終的な伝送距離は3,001 kmに達した。
⑤ 各コアの信号をそれぞれ受信し、伝送誤りを測定した。

 NICTは上記伝送システムの実験系において、送信及び受信時に誤り訂正処理などの様々な符号化を適用することで、システムの伝送能力(データレート)を最大限効率化するための検証を行った。実験結果は下図の通り。

実験結果。グラフは誤り訂正を適用した結果で、多少ばらつきがあるものの各コアで1波長のデータレートが平均145Gbps程度、4コア合計の1波長の平均580Gbpsで安定したデータレートが得られ、552波長合計で319Tbpsを実現した。

 NICTは「今後は、伝送距離やネットワーク構成が異なる光通信システムにおいて、早期実用化が期待できる標準外径新型光ファイバを利用した様々な実装形態を可能とするため、更なる伝送能力の向上を目指し、将来の大容量光伝送技術の基盤を確立していきたい」との考えを示している。

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