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高分解能オシロスコープ「DLM5000HD」シリーズを開発・発売【横河計測】

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自動車向けをはじめとする次世代パワーエレクトロニクスの開発効率向上を支援

 横河計測は8月7日、周波数帯域500MHz、350MHzの高分解能オシロスコープ「DLM5000HD」シリーズを開発し、発売を開始した。

 横河計測は「新製品は、DLM5000シリーズの高性能バージョンとしてオシロスコープのラインアップを拡充するもので、より高精度な波形解析のための高分解能化とより使いやすく設定しやすい機能を備えている」と説明している。

主な市場
•カーエレクトロニクス市場
•電子デバイス、インバータ装置、発電装置などパワーエレクトロニクス市場
•家電、空調機器などエレクトロニクス市場
•産業用機器などのメカトロニクス市場

用途
•電気、電子回路の設計・評価
•半導体、電子デバイス、組み込み機器のファームウエア開発やデバッグ
•カーエレクトロニクスにおける、CAN、CAN FDなど車載用各種シリアルバス信号と各種アナログ信号の同時測定
•パワーエレクトロニクスにおける、電力解析、動作確認
•メカトロニクスにおける、通信などの高速信号と比較的変化の少ないメカトロニクス系信号の同時測定・評価

高分解能オシロスコープ「DLM5000HD」シリーズ
(写真は、500MHz帯域の8チャネルモデル「DLM5058HD」)

開発の背景
 2012年に発売した「DLM4000」シリーズ、その後継機種として2020年に発売した「DLM5000」シリーズは、8チャネルのアナログ入力を持つオシロスコープとして、エレクトロニクス・メカトロニクス業界の顧客から、製品を開発する際に用いる計測器として広く採用されてきた。
 近年は、脱炭素化社会の実現に向け、モーター、インバータ装置、および太陽光発電装置などクリーンエネルギー関連の製品に対して、さらなる省電力化が求められている。特にSiC(シリコンカーバイド)を活用する次世代パワーデバイスの実用化、量産化が進む中、これらデバイスを使用するパワーエレクトロニクス業界からの高精度な計測への要求が高まっている。
 横河計測はこれらのニーズに対応し、垂直軸分解能が向上した多チャネル測定に対応する「DLM5000HD」シリーズを開発、オシロスコープのラインアップを拡充した。

製品の特長
 「DLM5000HD」シリーズは、8チャネルモデル2機種(500MHz帯域の「DLM5058HD」と350MHz帯域の「DLM5038HD」)と、4チャネルモデル2機種(500MHz帯域のDLM5054HDと350MHz帯域のDLM5034HD)から構成される。主な特長は以下のとおり。

垂直軸分解能を16倍に向上
 「DLM5000HD」シリーズは、既存機種の「DLM5000」より16倍高い12bitの垂直軸分解能をもち、より正確な波形観測が可能だ。とくに、次世代インバータ装置の開発者にとっては、高速な信号の微細な変化を正確に観測できるメリットがある。これにより、隠れて見えなかった予期しない問題を引き起こす現象を検出することができる。

シリアルバス解析機能を拡張
 同社のオシロスコープの特長である、シリアルバス解析時のバスのビットレートや電圧レベルを自動でセットアップする機能が、取り込み済みの波形データに対しても適用できるように拡張された。これにより、発生頻度が低い信号に対しても、自動セットアップが適応できるため、車載バスの開発や評価作業の効率化を図ることができる。

解析作業効率を向上
 同社従来製品比2倍に相当する1Gサンプル点のメモリを搭載した。これにより、同比2倍の最大20万個の波形をヒストリ波形として保持できるようになった。ロングメモリにより、サーチして照合できる波形が倍増することに加え、高速なサンプルレートで数ミリ秒間の捕捉が必要なブレーキ機器などの挙動を一台でカバーできるため、評価・解析作業の効率が向上する。
 また、さらなる多チャネル化が可能な2台同期測定 (DLMsync) 機能により、2台の8チャネルモデルを同期接続することで、最大16アナログチャネル+64ビットロジック(8つの8ビットロジック入力)の同時測定が可能だ。これにより、例えば、電子制御ユニットの多数ある電源投入シーケンスの動作確認とともに、ユニットのデバッグが可能になる。

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