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ケーブル技術ショー2017Preview【伊藤忠ケーブルシステム】

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 ブースの注目はNOKIA社製G-PON、XGS-PON、NG-PON2による4K/8K IP伝送や、同軸を流用した集合住宅対策としてHPNAや Micro-CMTSが紹介される。

 以前はアルカテル・ルーセント社製品として紹介されていたPONソリューション等はNOKIA社製品として統合されている。

2.5Gbpsをベースに将来の10G、40G(10G×4)にも対応できるG-PON

NOKIA社のG-PONシステム「7360 ISAM FXシリーズ」(2.5Gと10G OLTカードの混在搭載可能)

 アルカテル・ルーセント社時代から日本のCATV市場で実績を伸ばしてきたNOKIA社のG-PON。伊藤忠ケーブルシステムは日本におけるG-PONシステムの普及に長年の実績があり、市場動向に精通した提案力やアフターケアが高く評価されている。伊藤忠ケーブルシステム ネットワークソリューション本部 CATV・ネットワーク営業部 ネットワークグループの田部井和道氏は「ここ数年で10GのPONシステムがトピックとして出てきているが、まだ加入者側端末のコストの課題もあり、あくまでも将来対応の話だ。実際にG-PONシステムを導入頂いたCATV事業者様のお話を聞いても、現実的なのは2Gサービスだと感じている」としており、「あるCATV事業者様の事例では、競合事業者の1Gサービスよりも価格を抑えた2GのWi-Fiサービスを展開している。伝送速度が速くて価格が安いというインパクトのあるサービスと価格により、インターネット加入を大幅に伸ばしている」と説明している。
 ONU端末はブリッジタイプやWi-Fiタイプ、PoEタイプをラインナップ。2.5Gbpsの帯域により、例えば1Gbpsで高速通信サービス、残りの1.5 Gbpsで4K/8KのIP放送やWi-Fiオフロード等を提供することができる。田部井氏は「Wi-Fi モデルは802.11 ac対応もあるので、次世代の端末というところでも大きな訴求ポイントになると期待している」と話す。
 G-PON は128分岐が可能であることから、加入者が多いヘッドエンドから10km圏内における設計が容易である点も注目されている。各々のONU単位でVLANを32個割り当てることができるので、例えばB to Bと行政のネットワークを混在することもできる。またリゾートホテルでの実績もあり、屋外コテージに対して4K映像伝送を見据えた通信環境の構築や、無中継長距離伝送によるコストダウンを実現している。

NOKIA社WiFi ONU「G-240W-B」(左)と10G ONU「XS-020GX-A」(右)

2.5Gbpsを運用しているセンター局側筺体に10Gbpsを混在して同時に運用

 G-PONシステムでは2.5Gbpsを運用しているセンター局側筺体の中に10Gbpsのライン・カードを混在し、同時に運用することもできる。波長多重フィルタにより、1心で2.5Gbpsと10Gbpsを送信することができるので、センター側の装置をそのまま使い続けることが可能だ。10G級のPONとしては、下り、上り共に10 GbpsとなるXGS-PONが紹介される。田部井氏は「2.5Gbpsで導入したシャーシに10Gbpsを追加していけるので、加入状況を見て必要最小限のコストで将来の10Gに対応できる」と話す。

40G級のNG-PON2

 更にその先の技術として注目されている40G級のNG-PON2(10Gbps×4)は世界各国のキャリアがトライアルを進めている状況だ。伊藤忠ケーブルシステム ネットワークソリューション営業本部 技術・サポート部 技術・サポートグループ 課長の石崎隆司氏は「40Gは先のことすぎるかもしれないが、日本でも注目されているCATV事業者様はいらっしゃる。40Gをいち早く導入してエリアのリーダーシップを取りたいといった他、例えば旧タイプのGE-PON ONUをお使いのケースでは、10G-EPONを使うと上りの波長がぶつかってしまうので、波長多重の40Gのうちの1波長を用いて10Gで巻き取りたいというご要望を頂いている」としており、「NG-PON2はモバイル5Gのインフラとしても注目されている。CATV事業者様がNG-PON2を早々にご採用し、モバイルの心線提供ができれば理想的だ。加入者に10Gサービスを提供しつつ、モバイルキャリア様に対するビジネスも展開できる。モバイルキャリア様も初期投資を低減して線路を構築できるメリットが有る」と話す。
 NOKIA社のベル研究所では10Gのコンポーネントで25Gbpsを実現する研究がされているので、将来的には100G級のPON2(25Gbps×4)も期待できる。

 

集合住宅向けFTTHソリューション

 FTTHの課題となる集合住宅への対応では、同軸ケーブル上でイーサネット信号を伝送するシステムを提案。世帯数が少ない集合住宅向けとしてコストパフォーマンスの良いHPNA(HomePNA)、世帯数が多い集合住宅向けにはMicro-CMTSを用意している。
 HPNAは1台のMasterで最大253のClientを管理できる。ペイロードは最大350Mbpsの転送能力で、端末間の通信は時分割にて上り下りの通信を行う。伝送する周波数帯域が低いので既存の同軸を使用してもケーブル減衰が低く済み、システム構築が容易だ。Qos機能により、VoIPやVOD等の優先通信設定が可能。石崎氏は「同軸を流用するのでCATV事業者様と相性の良いシステムだ。導入コストも低いので、加入者の反応を気にせずに導入に踏み切ることができるとご評価頂いている。実績も増えており、現在もある事業者様との協業で3,000台ほどの契約が決まりそうな状況だ」と話す。

 

4K対応IP-STBを安価に提案

 コストを抑えた4K対応IP-STBを展示。ソフトウェアで8K対応も可能だという。石崎氏は「通信サービスを収入のメインにしたいというCATV事業者様から安価なSTBが欲しいというご要望があり、メーカーと協議して開発した製品だ。映像サービスの提供コストを低減したいCATV事業者様にご提案していきたい」と説明している。

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