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ケーブル技術ショー2017Preview【住友電気工業】

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 住友電気工業(以下、住友電工)はIP技術に加え、BNMUX時代からCATV市場で培ってきたRF技術を併せ持っており、IPとRFのそれぞれでヘッドエンドから加入者端末まで自社で提供できる強みが有る。

 ブースでは「Innovative Standards~住友電工が考える高度化CATVシステム~」をテーマに、ラインアップを増強した10G-EPON製品やRF/IPハイブリッドSTBなど、先進技術を取り入れた最新の高度化CATVシステムが紹介される。

放送サービス高度化によるIPトラフィック増加を見据えた10G-EPON

 住友電工の10G-EPONは、北米のMSOや日本のCATV事業者による導入やトライアルの実績が増えている。住友電工 ブロードネットワークス事業部 担当技師長の伴泰次氏は「当社の10G-EPON OLTは、20を超える日本のCATV事業者様にご採用頂いた。現状のサービスは1G端末で十分だが、4Kテレビの普及や2018年の高度BS本放送開始によりIPトラフィックの急激な増加が見込まれていることから、今から10G化の準備を進めるCATV事業者様が増えている」と話す。

10G-EPONプラットフォーム「FSU7100」

 住友電工の10G-EPONプラットフォーム「FSU7100」は、OLTシャーシに1Gと10Gのインターフェイスカードを同時に収容できる。下りでは1Gと10GをWDM、上りでは1Gと10GをTDMで多重し1本の光ファイバ上で伝送する。また、ラインカードにはトリプレクサが備わっているので、同一の光ポート内に1Gと10Gを混在できる。
 「FSU7100」はPON信号を集約するL3スイッチを内蔵したことにより省スペース化を実現した。これにより高額な光モジュールや配線が削減されるので、システム全体のコストも低減されている。また、スイッチは二重化が図られているので、片側が停止してもサービスを継続できる冗長性を実現している。10Uの筐体に1Gのポートを最大160ポート、10Gを最大128ポートと高密度に収容できるので、省スペース化を図ることができる。

4Uの10G-EPON OLTを出荷

 同社は昨年末に4UのOLTの出荷も開始した。特にサブセンターでの需要があるという。伴氏は「10Gサービスを始める際にはサブセンターの設備も10Gにする必要がある。4Uの10G-EPON OLTは、その用途に適した製品としてリリースした。大規模エリアに展開しているCATV事業者様にもご評価頂いている。今からサブセンター設備を10G化しておくことで、10Gサービスが急激に立ちあがった際にスムーズな対応ができる」としている。

10Gの家庭用端末

左:10G家庭用端末「FTE7553-BAX」
右:上り1G/下り10G対応家庭用端末

 10Gの加入者端末(ONU)も展示。伴氏は「北米で数100台の出荷実績がある10Gの企業ユーザ向け端末は、国内のCATV事業者様にもご採用いただいている。昨年は参考出展だった家庭用端末も、今年は製品版を出展できる。今後北米を中心に10G家庭用端末の出荷数量が増えていけば、使用している光デバイスのコスト低減が見込め、次世代モデルでは更にコストを抑えたご提案ができる」と話しているので、10Gサービス普及の課題である加入者端末のコストを解決する取り組みとして期待したいところだ。

分散型FTTHノードの屋外設置によりセンター設備の省スペース化・省電力化を実現
10G-EPONを128分岐可能

 10G製品でユニークなのが新製品のROSD(Remote Optical Service Device)。これは分散型FTTHノードで、屋外設置によりFTTHセンター設備の大幅な省スペース化、省電力化を図ることができる。
 具体的には、OLT1ポートで屋外設置の分散型FTTHノード(ROSD)から10G-EPON回線4ポートの展開が可能であるため、ヘッドエンドスペースが4分の1となり、大幅な省スペース化、省電力化を図ることができる。
 また、このROSDだけで長距離対応できるというメリットもある。この場合、ROSDから加入者宅のONUまでの距離が短く、伝送ロスが小さいので、ROSDの各10G-EPONポートの多くは128分岐可能となり、センター設置のOLTのポート数を減らすことができ、更なるセンター設備の省スペース化・省電力化を期待できる。伴氏は「国土の広い北米で需要のある製品だが、国内でもお役立て頂けるのでご提案している。光アンプも搭載しV-ONUを繋げばRF系の延長といった使い方もできる。日本のCATV事業者様からご意見を伺い、製品として提供していきたい」と話している。

ROSDを使った分散型FTTHシステム構成図

10G-EPON集合型ONU

 10G-EPON集合型ONU「FTC7511」は1Uの筐体に8台の10G-ONU機能を実装したコンパクトな製品で、集合住宅やビルに対して経済的に10G-EPONによる通信環境を提供する。PONインターフェースは1ポートで、内部で電気的に8台のPON MAC信号分配するため、光分岐ロスが低減でき、PON光伝送距離の長延化が可能だ。伴氏は「ビル内の商業施設や事務所、集合住宅での利用を想定している。OLT側からは8台のONUとして管理、設定ができる。CATV事業者様がBtoBビジネスを開拓するのに役立つツールとしてご提案していきたい」と説明している。

10G-EPON集合型ONU 「FTC7511」

RF/IPハイブリッドSTB

 住友電工のIP-STBはCATV事業者だけでなく、NTTぷらら、KDDIと幅広く採用されており、市場のニーズも幅広く把握できている強みがある。今回の見どころはRF/IPハイブリッドSTB。伴氏は「現状はRF放送なのでRFとIPのハイブリッドでないとCATV事業者様からは受け入れられなかった。ハイブリッドなら放送がRFからIPへ移行してもSTBはそのまま使い続けられる」と話す。
 Googleが提供するテレビ向けOS「Android TV」を採用したSTBとして唯一Googleに認定されており、映画、音楽をはじめゲームや生活情報などの豊富なアプリケーションをダウンロードできる。Googleのサーバ側には音声検索機能が備わっているので、STBのリモコンのマイクで検索することもできる。来年末には高度BSに対応した次期製品を出すべく検討している。

ヘッドエンドの高度BS対応やIP-QAMエキサイタ

 住友電工はヘッドエンドの高度BS対応について、様々なパターンに対応できるソリューションを提案する。伴氏は「高度BSでは複数QAM方式と単数QAM方式があり、今後の動向を見極めなくてはいけないが、現時点では全方式対応で開発を進めている。従来のピザボックス型からサブシャーシ型にすることで省スペースの市場要求に対応していく」と話す。
 また、HDヘッドエンド関連製品としてIP-QAMエキサイタが紹介される。IP-QAMエキサイタは、多チャンネル放送用HOG受信装置とトランスモジュレータを一体型にした新製品で、今夏からの出荷を予定している。「CATV事業者様の用途や更新時期をヒアリングしながらご提案しているところで、年内には次々と導入して頂けそうだ。この装置を導入頂くことで、ヘッドエンドの省スペース化を実現する」(伴氏)。

地デジ複数波IP伝送一括変調装置(参考出展)

 ヘッドエンドに設置する送信装置で地デジOFDMをIPで伝送し、集合住宅等に設置した受信装置でOFDMに変調する。オールIP化を支援する装置として参考出展される。

BN-Tabシステム

 子会社であるブロードネットマックスからは、タブレット端末を用いて加入申し込み手続きから工事の支援までを電子帳票で対応する「BN-Tabシステム」を展示する。加入申し込み手続き書類のペーパーレス化と加入者宅への引込宅内工事の手続きの効率化が実現でき、また書類の紛失・盗難による個人情報流出防止も図ることができる。

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