つくばフォーラム2024開催記念「NTT AS研 海老根所長インタビュー」【1】
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アクセスネットワークに関するサービス、システムの総合シンポジウム「つくばフォーラム2024」が5月16、17日の日程で茨城県つくば市にて開催される。
主催はNTT。共催はITEA、線材協会、全通協。後援はNTTドコモ、NTT東日本、NTT西日本、NTTデータグループ、NTTアーバンソリューションズ、NTTインフラネット、NTTセキュリティホールディングス。
今年のテーマは『新たな価値創造へ 持続可能な社会を支えるアクセスネットワークへの挑戦』。NTTアクセスサービスシステム研究所の海老根 崇所長は「2023年3月にはAPN IOWN 1.0サービスが開始された。NTTグループは新中期経営戦略で示した通り新たな価値創造と地球のサステナビリティのためにIOWNの研究開発に挑戦し続け、実用化に向けた加速を進めていく。IOWNの『構想から実現へ』をより一層来場者様にご理解いただける様、アクセス分野の多岐に渡る最新の研究開発成果をお見せする」と説明している。
つくば国際会議場で5月16日10:20より実施される基調講演は2件を予定しており、NTTの常務執行役員 研究開発マーケティング本部長である大西 佐知子氏による『人と地球にやさしい社会インフラで実現する”Social Well-being”』、NTT東日本の代表取締役副社長 副社長執行役員である星野 理彰氏による『「これからのつなぐ」を創る』となる。(基調講演・ワークショップ・技術交流サロンは5月下旬よりオンデマンド配信も予定)
今回のインタビューでは同展の開催に先駆け、 海老根所長から将来のアクセスネットワークの実現に向けた研究所の取り組みを説明していただき、その成果である、つくばフォーラムでの研究所展示について解説していただいた。
(OPTCOM編集部 柿沼毅郎)
研究開発の方向性

NTTアクセスサービスシステム研究所
海老根 崇所長
AS研は2021年に、IOWN構想の具現化によるナチュラルでスマートな社会の実現のために研究開発の方向性を整理しており、『エクストリームな要件に応え・サービスの多様化を支える研究開発』『運用を抜本的にスマート化する研究開発』『新ビジネス領域へのアセットを活用した研究開発』の三つの方針で取り組んでいる。海老根所長は「今年もその方針を継続して研究開発を進めている。また、今年のミッションとして、最先端のアクセスネットワーク技術の研究と実用化により新たな価値創造に挑戦し 持続可能な社会に貢献することも定めている」と話す。
AS研はこの三つの方針を実現するための最先端の要素技術として、
・アクセスシステム技術
・オプティカルファイバアクセス技術
・ワイヤレスアクセス技術
・インフラストラクチャ技術
・オペレーション技術
を挙げている。海老根所長は「これら要素技術を組み合わせることで三つの方針に取り組んでおり、今年はIOWNによる新たな価値創造の『構想から実現へ』を進めている段階だ。つくばフォーラムでは、来年度の大阪万博を見据えてIOWNの実現という面を強く出していく」と話している。

研究開発の方向性。方針や要素技術は従来を踏襲しつつ、ロバストNW、環境負荷低減、安全といったテーマを追加している。
今回、NTT研究所による展示数は49。
研究開発方針:2展示
サービスの高度化・多様化を支える技術:26展示
運用を抜本的にスマート化する技術:11展示
新ビジネス領域を開拓する技術:10展示
本記事では、その中でも特に注目されている技術をピックアップする。
研究開発方針 (アクセスNW像)
6G/IOWN時代のアクセスネットワーク像
AS研では、2030年代の6G/IOWN時代のIOWN本格サービスに向け、アクセスネットワークの大容量・低遅延・低消費電力化に資する研究開発を推進している。その具現化に向けては、要素技術の繋がりを含めたアクセスネットワーク像を可視化し、検討推進に繋げていくことが必要となる。
その技術のポイントは、高密度に配置される高周波数帯無線アンテナを配線技術や光アクセス技術によって効率的に集約することや、自然災害やNWシステム故障に対して設備の被災予測やNWの状態可視化技術などによる耐性強化となる。
これにより、高速・大容量、低遅延、低消費電力なネットワークの実現や、自然災害やNW故障に対するロバストネットワークの実現をめざすという。
海老根所長は「6G、IOWN時代におけるアクセスネットワークを、研究所、事業会社、関連企業と共に実用化に検討を進めているところだ。Cradio®や、遠隔光路切替ノード、被災予測など、これからご紹介する様々な技術を連携して将来のアクセスネットワークを創っていく」と話している。

6G/IOWN時代のアクセスネットワーク像。
特集目次
■NTT AS研 海老根所長インタビュー
・研究開発の方向性