つくばフォーラム2025開催記念「NTT AS研 海老根所長インタビュー」【1】
INTERVIEW 有料 アクセスネットワークに関するサービス、システムの総合シンポジウム「つくばフォーラム2025」が5月15、16日の日程で茨城県つくば市にて開催される。
主催はNTT。共催はITEA、線材協会、全通協。後援はNTT東日本、NTT西日本、NTTドコモ、NTTデータグループ、NTTアーバンソリューションズ、NTTセキュリティホールディングス、NTTインフラネット。
今年のテーマは『世界を変える価値創造を 持続可能な社会を支えるアクセスネットワークへの挑戦』。NTTアクセスサービスシステム研究所の海老根 崇所長は「2023年3月にはAPN IOWN 1.0サービスが開始され、また2024年8月には世界初のIOWN国際間APNが開通した。NTTグループは新中期経営戦略で示した通り、新たな価値創造とグローバルサステナブルな社会の実現のためにIOWN/6Gの研究開発に挑戦し続け、実用化に向けた加速を進めてきた。様々な社会課題を解決するアクセスサービスシテム研究所の取り組みをより一層来場者様にご理解いただける様、IOWN/6Gを筆頭にアクセス分野の多岐に渡る最新の研究開発成果をお見せする」と説明している。
つくば国際会議場で5月15日10:20より実施される基調講演は2件を予定しており、NTTの代表取締役副社長 副社長執行役員 CTOである川添 雄彦氏による『IOWN誕生から5年 さらにその先へ』、NTTドコモの代表取締役副社長 CTOである佐藤 隆明氏による『つなごう。驚きを。幸せを。~6G時代のWell-beingな社会の実現に向けて~』となる。(基調講演は5月16日夕方以降、オンデマンド配信も予定)
今回のインタビューでは同展の開催に先駆け、 海老根所長から将来のアクセスネットワークの実現に向けた研究所の取り組みを説明していただき、その成果である、つくばフォーラムでの研究所展示について解説していただいた。
(OPTCOM編集部 柿沼毅郎)
研究開発の方向性

NTTアクセスサービスシステム研究所
海老根 崇所長
AS研は、最先端の要素技術の活用・連携により、ロバストNW・環境負荷低減・安全の観点を強化し、IOWNおよびデータ・ドリブンによる新たな価値創造と、グローバルサステナブルな社会の実現に貢献することをめざしている。海老根所長は「従来の方向性を踏襲しつつ、世界規模のサステナブルに貢献していきたいということで、今年からグローバルサステナブルというワードも掲げている。アクセスネットワークの研究開発に取り組む我々は、無線、伝送、線路、土木、オペレーションというお客様に近い五つの分野を扱っているので、それらが連携した新たな価値創造や、サステナブルへの貢献を進めていく」と話す。
社会インフラ展示
今年の新たな試みとして、社会課題の解決に向けた相互の技術交流やビジネス創出を目的に、通信以外のインフラ会社や研究機関等も出展して社会インフラ技術展示を実施する。
出展社は、安藤・間、中部電力パワーグリッド、東京ガスネットワーク、東京電力パワーグリッド、防災科学技術研究所、三菱電機、等。
海老根所長は「我々は、通信インフラで培ってきた技術を社会インフラへと広げていきたい。そこで、通信以外の社会インフラに携わる方々にもご出展いただき、我々の技術もご紹介し、お互いの技術を展示できる場として設けた。これにより、今後のビジネスの創出に繋げていければと考えている」と話す。
安全技術特設展示
通信建設工事における安全に関する特設展示も実施される。海老根所長は「ITEA、線材協会、全通協、NTTグループといった所属団体を横断した形で便利なツールを数多く展示することで、安全向上に貢献できればと考えている」と話す。
ここからは、NTT展示の紹介に移る。
IOWN/6G時代のアクセスデザインと、アクセスNWテストベット
IOWN/6G時代のアクセスデザイン
APN step3技術を活用して、新たな需要も含めた様々なサービスを収容することをめざしている。そのため、IOWN/6G時代の多様なサービスを効率的に収容し、運用負荷を低減するための機能/設備の配置のデザインが必要となる。
その研究では、フォトニックゲートウェイを介して繋げたいときに、繋げたい場所へ繋がるオンデマンド(Plug&Play)APNを実現。また、ファイバクロスコネクト(FXC)によりプロトコルに依存しない多様な光の信号形式の収容を実現可能にした。
海老根所長は「これにより、アクセスにおける任意地点で、End-to-End光パスを提供する。初期接続の自動化による開通リードタイムの短縮による運用稼働の削減、多様な信号種別の収容によるサービス拡大が見込める」と話す。

IOWN/6G時代のアクセスデザインのイメージ。
IOWN/6G時代に向けたアクセスNWテストベッド
IOWN/6G時代への需要変化を捉えたアクセスNW実現に向け、パートナーとの協力を得ながらAS研のテストベッドを構築・運用することで、研究開発と実証実験を一体的に取り組み、研究開発技術の導入を促進している。その内容は、次の三つのテーマに分かれている。
テーマ1『将来ネットワーク』は、IOWN/6Gの中核となるNW技術に関する検証設備であり、今回はその中からMCF(収容)、簡易布設、光分岐、光機能点、無線(分散MIMO)が展示される。
テーマ2『スマートインフラ』は、社会インフラ設備の協調保全やビジネス拡大に向けた検証設備であり、今回はその中から設備アセット活用が展示される。
テーマ3『スマートエンジニアリング』は、施工の省力化や安全に関する検証設備であり、今回はその中から機能電柱、建柱作業スマート化が展示される。
海老根所長は「IOWN/6G時代まで考えると、光ファイバのような媒体含めて設備構成は変化していく。また、労働人口が減っていく中で自動施工や遠隔施工へとシフトしてくことも踏まえて、AS研の敷地内にアクセスNWテストベッドを構築した。それを今回お披露目する」とし、「中でもテーマ2のスマートインフラは、NTTの設備だけではなく、社会インフラ設備全体で協調保全を進めていこうというコンセプトであり、NTT以外のインフラ事業者の方や、自治体の方も来ていただいて、施工からメンテナンスまで様々な検証や見学ができるものとなっている」と話す。

アクセスNWテストベットの展示内容。
特集目次
■NTT AS研 海老根所長インタビュー
・研究開発の方向性
・運用を抜本的にスマート化する技術/新ビジネス領域を開拓する技術
■出展社Preview(50音順)
・NEC
・横河計測