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APN時代の光トランスポート装置、既設光ファイバ網によるセンシング、ヒアラブルデバイスによる現場安全管理DX

APNへの取り組み

 同社はAPN分野の事業を強化しており、昨年9月に光伝送装置のオープン仕様(Open ROADM、TIP Phoenixプロジェクト)に準拠した光トランスポート装置「SpectralWave WXシリーズ」を発表している。
 同製品はオープン仕様準拠により、ROADM構成と、IOWN Global Forumで検討が進められているOpen APNで定義されたAPN-T、APN-G、APN-Iの各機能ブロックを繋ぐ最新の構成を、製品の配置変更により対応する。例えば光信号の折り返しをする際、一般的な伝送装置ではトランスポンダ機能部、合分波機能部、光増幅機能部を全て繫ぐ必要があるが、同製品は事業者のニーズに応じて、APN-T(WX-T)とAPN-G(WX-S)の2製品を繋ぐ構成で光の方向を変更し折り返しが可能だ。これにより、柔軟かつ経済的なネットワーク構築を実現。ブースでは同製品のユースケースとして、次の二つが説明される。
 DC連携サービスのデモでは、APN-Gによる光スイッチ切り替え動作を確認する。これにより“APN導入により経路を切り替え、需要に応じてDCに対するコネクティビティの確保”“DCのダイナミックなリソース配置に合わせ、上流側のAPN-Gの切り替え”の様子が分かる。「広帯域化が進むDCでは、負荷に応じて光の経路を変える冗長性も必要になってくるので、切り替え機能を実演する」(同社)
 広域光ダイレクトサービスのデモでは、光折り返しの疎通を確認する。これにより“拠点間/DCを光でダイレクトに接続する光閉域網化”“遠隔で波長制御および光折り返し(turn-back)を行い、拠点間を接続” の様子が分かる。「IOWNの、光と電気の変換をせず光layerのみで折り返せる特長を実演する」(同社)

NECは今年4月、IOWNの新たな世界を体験・共創する場として『NEC CONNECT Lab with IOWN』をNEC我孫子事業場に開設している。「ブースで説明するデモは、このラボで実際に稼働している。ラボのコンセプトは、IOWNを活用してビジネスの拡大をめざすパートナーやお客様と、各社の機器の相互接続検証やサービスを組み合わせた検証、各社のラボと連携した実証などを行うことによる協創だ。また、企業のDC間や拠点間のAPNによる接続を模した環境を構築し、大容量・低遅延なネットワーク環境を体感できる。さらに、IOWN構想の社会実装をめざすIOWN Global Forumによる機器やサービスの技術検証の場としても活用する予定だ」(同社)

ブースでのデモ構成のイメージ。

既設光ファイバ網によるセンシング

 『NEC Intelligent Fiber Optic Sensing Solution (NEC IFOS)』は、既設の光ファイバから検知した振動をNECのAI技術群で分析することで、ファイバ損傷などの異常検知や損傷予防といったインフラ監視の効率化や、防災・減災対策のDXへの貢献など様々な価値を提供する。
 NECは、IOWNのOAF (Open APN Fiber Sensing Task Force)での活動の一環として、ファイバセンシングの価値をIOWNの世界観に入れて行く議論にも参加している。「通信用途で敷設したファイバにAIを組み合わせることで、事業者のアセットにセンシングという新たな価値を追加できる。他のセンサのような点の情報ではなく、ファイバに沿った線の情報を把握し地図上に示すことで、より正確な位置情報を把握でき、人の派遣や現地との情報共有を効率化できる。また、既設ファイバの振動を把握することで、予期せぬ工事による断線の予測や自然災害の予兆も把握できる」(同社)
ブースでは、様々な用途の中から既設の通信用光ファイバケーブルの保守、運用の効率化を実現する3つの例をピックアップして紹介する。
ケーブル位置確認:地図上に正確なケーブルルートを作成して、光ファイバケーブルの効率的な保守と損傷した光ファイバの復旧への迅速な対応を実現する。
ファイバケーブル切断防止:埋設された光ファイバケーブル周辺環境の振動を計測し、予期せぬ工事などの異常振動を検知。
ケーブル特定:特定の光ファイバケーブルに振動を与え、光ファイバ毎に振動の有無を検知することで、光ファイバケーブル束の中から対象ケーブルを特定。

光ファイバケーブル長や実際の位置を地図に表示する『ケーブル位置確認』のイメージ。NECの強みとしては、架空ケーブルにおけるファイバセンシングの課題である風の揺れによるノイズをAIで除去する技術もある。

光ファイバケーブルに影響を与える異常を検知する『ファイバケーブル切断防止』のイメージ。異常個所を正確に把握できるファイバセンシングの利点も、迅速な対応に活かされる。

光ファイバケーブル束の中から対象ケーブルを特定する『ケーブル特定』のイメージ。「ケーブルの多芯化、複雑化とともに対象ケーブルを特定する手間も増えるので、こうしたソリューションがお役立ていただける」(同社)

イヤホン型ウェアラブルデバイスによる現場安全管理DX

NECヒアラブルデバイスの外観。一人ひとり異なる耳穴の形状から反響音の個人差を識別し本人を認証する、NECの生体認証技術を用いている。生体認証のデータ量が少ないので、通信量やクラウド容量を押さえるメリットもある。

 NECヒアラブルデバイスは、NECの耳音響認証を搭載したイヤホン型のウェアラブルデバイス。生体認証による本人確認が可能で、ディスプレイを必要とせず、スマートフォンなどを介してインターネットに接続し、クラウド上の様々なサービスを活用できるコンピューティングスタイルを実現する。ブースではその使用例の一つとして、建設業や製造業における現場作業者を遠隔から管理するDXソリューションが紹介される。
 同デバイスを身に着けた作業者の位置を遠隔から把握でき、高所作業時の把握、転倒・転落検知、タップによる緊急連絡が可能だ。また、イヤフォンマイクは周囲の雑音をキャンセリングしクリアな音声を送信できるので、騒音環境でも活用できる。
 「広大な現場や死角が多い現場では、作業管理者の目が届かない場所やカメラ設置が難しい場所があるため、このヒアラブル機能を活用した作業員の安全・安心の確保を提案している。現場設備がDX化している中、作業員の方々の状況のDX化も進めることで、企業のリスクマネジメントにも貢献できる」としており、「耳にイヤホンを装着するだけなので、装着者はハンズフリー、アイズフリーで作業ができる。ウェアラブルデバイスとクラウドでシステムを構築できるので、現場の工事が不要であり、コストも抑えられる。工場、プラント、通信建設現場等で非常に関心を持っていただいており、お客様の実証も増えている」(同社)

ヒアラブルソリューションによる現場安全管理DXのイメージ。遠隔の管理者は、装着者に意識させることなく状況を把握できるので、現場作業への影響が無い。また、温湿度センサなど他のセンサとの連携も可能だ。

特集目次

・NTT AS研 青柳所長インタビュー

・技術交流サロン・ワークショップ

■出展社Preview

・NEC

・エクシオグループ

・住友電気工業

・日本コムシス

・横河計測

以下、後日更新

■会場Review

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