光通信、映像伝送ビジネスの実務者向け専門情報サイト

光通信ビジネスの実務者向け専門誌 - オプトコム

有料会員様向けコンテンツ

FOEセミナー企画委員インタビュー:黒部 立郎氏【古河電気工業】FOE-9

INTERVIEW 有料

(期間限定無料公開中)

■コースタイトル
【FOE-9】
異種材料集積技術の最新動向

■コースリーダー
古河電気工業
研究開発本部 フォトニクス研究所 所長
黒部 立郎

古河電気工業
研究開発本部 フォトニクス研究所
所長
黒部 立郎氏

 異種材料集積技術(heterogeneous integration technologies)は、シリコンフォトニクスの限界を突破し、次世代の光通信システムを実現するために、通信業界および学術界の両方で非常に重要な研究領域となっている。
 例えば、APNやBeyond 5G、6Gインフラではキーとなる技術の一つであり、またAI/HPCデータセンタでの低遅延・高帯域光インターコネクトに不可欠とされている。さらには、宇宙通信(小型光端末)や医療/センサ分野への応用も期待されており、将来の実ビジネスの広がりが注目されている。
 コースリーダーの黒部氏は「シリコンフォトニクスに対し、化合物半導体を集積するとデータセンタ内の短距離用途で性能が向上し、薄膜LNやポリマー材料を集積するとデジタルコヒーレントの長距離用途で性能が向上するという、異なる成果が出る。そこで本コースでは、それぞれのデバイスの最前線で活躍する研究者にご登壇いただき、異種材料を加えることで新しい価値が生まれることを実感していただける内容にする。また、異種材料集積が研究フェーズから実装・量産フェーズに進む際、鍵になるのが信頼性の高い接合技術となるので、その代表格の一つであるOKIのCFB(Crystal Film Bonding)技術に関する講演も設けた」としており、「二種類のデバイスにおける応用と、製法という三つの講演をご聴講いただくことで、技術の進化と実用化のイメージを感じていただけると思う」と話している。
 本コースのテーマが示す通り、現在の光通信技術は用途に応じて最適な材料と集積アーキテクチャを選ぶ時代に入っている。材料や構造の選択が通信距離や変調方式に応じて分かれることで、技術開発が多様化し、奥行きのある研究・産業構造が生まれている状況だ。今回、三つの異なるアプローチから語られる各講演からは、その面白さや奥深さを知ることができるだろう。

■講演タイトル
大容量光配線に向けた異種材料集積光デバイス技術

■講演者
NTT
デバイスイノベーションセンタ 特別研究員
開 達郎

 AIの普及に伴い、サーバやパッケージ間を接続する大容量光配線が強く求められている。本講演では、大容量光配線に向けた高速かつ低消費電力な光デバイスを実現する技術として、シリコンおよび化合物半導体を用いた異種材料集積技術の最新動向が解説される。
 登壇する開氏は、2011年よりNTTでシリコンおよび化合物半導体を用いた通信用光デバイスの研究開発に従事している人物だ。この分野で、低電力光変調器、および高速・低電力光変調器とレーザを高密度集積する技術を創出したことが評価され、今年2月に第70回前島密賞奨励賞を受賞している。世界的にもトップレベルのシリコンフォトニクス研究者の一人として認識されており、特に本講演のテーマでもある化合物半導体の異種材料集積に関する分野で高い評価を受けている。

■講演タイトル
高EO材料光変調器のシリコンフォトニクス異種材料集積の技術動向

■講演者
古河ファイテルオプティカルコンポーネンツ
オプティカルコンポーネンツ事業部
高林 和雅

 光デバイスの小型・高性能化に向けてシリコンフォトニクス上への異種材料集積技術が近年注目されている。本講演では変調器の高性能化に向けたシリコンフォトニクス上への高EO材料光変調器集積の技術動向について、薄膜LN光変調器を中心に解説される。
 登壇する高林氏は、2000年より富士通研究所で光通信用の光デバイスの研究開発に携わり、現在は古河ファイテルオプティカルコンポーネンツ(旧 富士通オプティカルコンポーネンツ)においてシリコンフォトニクス、および、LN変調器をはじめとする異種材料集積素子の開発を担当している。例えば、高速光変調器を実現するため、薄膜ニオブ酸リチウム(TFLN)のシリコンフォトニクス上への集積技術に取り組んでおり、国際的にも高く評価されている。

■講演タイトル
異種材料集積技術『CFB®』~19年の量産実績と応用~

■講演者
沖電気工業
グローバルマーケティングセンターCFB事業開発部 部長
谷川 兼一

 2006年、OKIは独自のCFB技術により、マイクロLEDアレイをドライバICに接合した異種材料統合チップの量産に成功。その後も技術開発を継続し、様々な用途へ展開。本講演では、CFB技術の概要と様々な半導体デバイスへの応用例が紹介される。
 例えば、今年6月に発表されたタイリングCFB技術は、これまで難しかった小口径の光半導体ウエハから300mmシリコンウエハへのウエハサイズの壁を越えた異種材料集積を実現する。
 登壇する谷川氏は、2006年よりCFB技術によるマイクロLEDアレイとドライバICの異種半導体集積チップの開発・設計・量産化に携わり、2020年にCFB技術をコアとした新規事業開発組織を立ち上げている。同氏からは、最新のタイリングCFBに関しても、技術の詳細や、量産プロセス、社会実装のロードマップなどの話が期待できるだろう。

(OPTCOM編集部)

FOEセミナー企画委員インタビュー目次

■7月30日(水)の講演

【FOE-1】AIクラスター向け光インターコネクト:2025年、そしてその先へ
企画委員:小熊 健史氏【日本電気】

【FOE-2】空孔コアファイバ(Hollow-Core Fiber)の次世代光通信応用
企画委員:黒部 立郎氏【古河電気工業】

■7月31日(木)の講演

【FOE-3】先進アドバンスト・パッケージング、チップレット、フォトニクスおよび電気ダイの統合に関するケーススタディ
企画委員:才田 隆志氏【NTT】

【FOE-4】光電融合時代の光通信を支える超広帯域光増幅技術
企画委員:玉置 忍氏【住友電気工業】

【FOE-5】Space Compassが目指すマルチオービット構想と宇宙光通信技術の最新動向
企画委員:鈴木 巨生氏【三菱電機】

【FOE-6】224GbpsのSERDESとI/O、PAM4と448Gbpsへの道
企画委員:山中 正樹氏【キーサイト・テクノロジー】

【FOE-7】IOWN におけるAll Photonics Network の最新研究開発動向
企画委員:柳 秀一氏【NTT アドバンステクノロジ】

■8月1日(金)の講演

【FOE-8】AIデータセンタ構築に向けたLLM/GPUと光回線の最新技術動向
企画委員:和田 悟氏【フジクラ】

【FOE-9】異種材料集積技術の最新動向
企画委員:黒部 立郎氏【古河電気工業】

【FOE-10】AI時代を支える光トランシーバの最新動向
企画委員:布施 由起治氏【古河ファイテルオプティカルコンポーネンツ】

【FOE-11】既設通信光ファイバを用いた光ファイバセンシング基盤の実現に向けて
企画委員:森 浩氏【アンリツ】