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光通信技術セミナー企画委員インタビュー:玉置 忍氏【住友電気工業】

INTERVIEW 有料

(期間限定無料公開中)

■講演タイトル
【FOE-4】
光電融合時代の光通信を支える超広帯域光増幅技術

■コースリーダー
住友電気工業
光通信研究所 企画業務部
グループ長
玉置 忍

■講演者
ファイバーラボ
代表取締役
後藤 龍一郎

住友電気工業
光通信研究所 企画業務部
グループ長
玉置 忍氏

 光通信の広帯域化は、敷設した光ファイバを最大限活用するための重要課題である。また、クラウドサービスや生成AIの需要拡大に伴い、低消費電力や低遅延時間といった新たな光通信の課題も顕在化している。本講演では、最新光通信の課題解決に寄与する超広帯域光増幅技術の動向が紹介される。
 コースリーダーを務める玉置氏は「AIやデータセンタの注目が高まっている中で、スマートフォンなどユーザレベルでのデータ通信の利便性の向上も重要であることから、それを支える光増幅技術をテーマとした。本講演では光ファイバの広帯域化のアプローチの一つである、従来のC-band、L-bandだけでなくO-band、S-bandも活用する手法にフォーカスし、その光増幅器の技術に長年取り組んでいるファイバーラボから、全体的なトレンドや必要性、そして同社の技術について分かり易く説明していただく。本講演を通じこの領域にご興味を持っていただくことで、ネットワークの更なる大容量化に向けて様々な企業が力を合わせていくきっかけになればと期待している」と話す。
 光ファイバの超広帯域化は、今後の光通信インフラにとって技術的にも市場的にも大きなポテンシャルを秘めた領域だ。今後、AI、データセンタ間通信、6Gなどで爆発的なトラフィック増加が見込まれており、それによるスペクトル資源の限界という課題に対しO-band、S-bandを加えることで利用可能な帯域が1.5〜2倍に拡大することが期待されているが、従来の光増幅器だけでは前述の帯域で対応できないため、TDFA、PDFAなど新材料・新構造の光増幅器が必要になる。この領域に強みを持つファイバーラボが語る光増幅器の動向を知ることは、例えば、光トランシーバ、AWGやROADMなどの波長管理装置、分散補償器、光フィルタ、エンド・ツー・エンドの波長設計や監視などの通信技術を応用するのにも役立つだろう。
 光通信インフラに携わる企業にとって、超広帯域化はいずれ必ず来るトレンドだが、すぐに巨大市場になるとは限らないため、その参入や注力の判断は難しいかもしれない。その一方で、欧米のハイパースケーラーや研究機関もO-band、S-bandの利用研究を進めているので、市場規模の拡大や先行者利益が期待できるフロンティア領域でもある。そうした中で布石を打つことを考えると、ファイバーラボのような技術リーダーと現段階から連携、対話をしておくことが自社の競争力の源泉になるだろう。玉置氏は「ファイバーラボは、日本国内において通信事業者や公的プロジェクトとの共同研究や開発実績が豊富で、海外動向にも精通した技術力を持つ企業だ。本講演では最新の適用例や実験の内容を、分かり易くお伝えする構成を考えている」と話す。

 登壇する後藤氏は、2002年にフジクラに入社し、光ファイバの研究開発に従事する。2017年にファイバーラボ株式会社に入社し、光増幅器の製品開発や事業企画・経営企画業務への従事を経て、現在に至る。
 後藤氏は光増幅器に関する特許取得や、国内外でのカンファレンスで技術発表をするなど、コア技術設計やレーザ応用まで技術的に深い知見を持つ人物なので、本講演では光増幅器の要点を抑えつつ、幅広い層に理解しやすい解説が期待できる。玉置氏は「衛星通信でも光増幅器が搭載された衛星が実装されていくなかで、地上でのマルチバンド帯の拡がりを経て、宇宙での拡がりも見せていくだろうと期待している。後藤氏には、今回、陸上でのマルチバンド帯光増幅器の研究動向について触れていただく予定だ」と話している。