FOEセミナー企画委員インタビュー:森 浩氏【アンリツ】FOE-11
INTERVIEW 有料(期間限定無料公開中)
■講演タイトル
【FOE-11】
既設通信光ファイバを用いた光ファイバセンシング基盤の実現に向けて
■コースリーダー
アンリツ
センシング&デバイスカンパニー
開発本部長 兼 第1開発部長
森 浩
■講演者
NTT
アクセスサービスシステム研究所 アクセス設備プロジェクト
主幹研究員 プロジェクトマネージャ
戸毛 邦弘

アンリツ
センシング&デバイスカンパニー
開発本部長 兼 第1開発部長
森 浩氏
スマートな社会インフラ実現に向けて、通信用光ファイバを用いた光センシング技術が注目されている。本講演では、特に分布振動センシング(DAS)技術を用いた様々な事例を紹介するとともに、将来の光センシング基盤の実現に向けたDASに関する研究開発やその応用、今後の展望について解説される。
コースリーダーを務める森氏は「一昨年に光ファイバセンシングの講演を実施したところ、その年のFOEセミナーの中で満足度が一番高いという結果が出たので、非常に有意義なテーマだと認識している。その技術の一つであるDASは、振動のなかにある異常、兆候、パターン変化を常時把握することができるので、架空設備の異常検知、海底ケーブルの点検、道路掘削工事の検知など、通信設備保守の用途で使われてきた。そして現在、センシング性能の進化や社会のニーズの高まりから、社会インフラの環境モニタリングとしての期待も高まっており、交通量の把握や、侵入検知、橋梁モニタリングといったユースケースの検証が進んでいる状況だ」と話している。
DASは、架空の既設ファイバでも振動のセンシングができるので、社会インフラの老朽化や維持費高騰が課題とされている中、その常時監視を低コストかつ非接触で実現できるという、社会のニーズにマッチした技術と言える。また、光センシングの領域では各ユースケースにおけるAIの学習量も重要となるので、トライアルや社会実装が進むほど精度が上がるという進化のスパイラルも有る。その最新動向や将来展望が語られる本講演は、通信インフラ、自治体、道路、鉄道、防災、建設、スマートシティと、幅広い分野で役立つ情報となるだろう。
また、既設ファイバでセンシングができるとはいえ、損失、雑音、反射などの要件は通信用途とは異なる。光通信技術に携わる企業にとっては、通信用途に最適化された光ファイバ網に、センシング機能という価値を加えるために再び最適化を図るという新しいビジネスチャンスでもあるので、光センシングの社会実装の進捗状況や今後の見通しは、事業方針や研究分野を見定める上で重要な要素となる。
森氏は「本講演ではファイバセンシングの社会実装を中心に扱う予定なので、社会インフラにおけるファイバネットワークの重要性というものを、環境モニタリングという角度から再確認していただけるだろう」と話している。
登壇する戸毛氏は、2001年に日本電信電話入社。アクセスサービスシステム研究所にて、光ファイバ計測技術および光ファイバケーブル技術に関する研究開発、2013年から2021年までITU-T SG15にて光ファイバ網の保守運用に関する課題ラポータに従事。現在、同研究所にて次世代光ファイバ技術に関する研究プロジェクトマネージャ、博士(工学)。
戸毛氏は、DASの国内での社会実装における第一人者の一人であり、IOWN構想やスマートインフラ分野での応用に深く関わっている人物でもある。本講演を聴講することで、IOWNと連携したスマートインフラの実現といった実務的な視点からは、DASはどのようなポジションの技術として映っているのかを感じ取ることができるだろう。
森氏は「道路の陥没という痛ましい事故が起きた際に電話線も切断されたと聞いて、光ファイバセンシングの社会実装が進むことで、こうした事故の予兆も把握できるのではないかと感じた。本講演を通じて、多くの方々に光ファイバセンシングの最新動向をお伝えしたい」と話している。
(OPTCOM編集部)
FOEセミナー企画委員インタビュー目次
■7月30日(水)の講演
【FOE-1】AIクラスター向け光インターコネクト:2025年、そしてその先へ
企画委員:小熊 健史氏【日本電気】
【FOE-2】空孔コアファイバ(Hollow-Core Fiber)の次世代光通信応用
企画委員:黒部 立郎氏【古河電気工業】
■7月31日(木)の講演
【FOE-3】先進アドバンスト・パッケージング、チップレット、フォトニクスおよび電気ダイの統合に関するケーススタディ
企画委員:才田 隆志氏【NTT】
【FOE-4】光電融合時代の光通信を支える超広帯域光増幅技術
企画委員:玉置 忍氏【住友電気工業】
【FOE-5】Space Compassが目指すマルチオービット構想と宇宙光通信技術の最新動向
企画委員:鈴木 巨生氏【三菱電機】
【FOE-6】224GbpsのSERDESとI/O、PAM4と448Gbpsへの道
企画委員:山中 正樹氏【キーサイト・テクノロジー】
【FOE-7】IOWN におけるAll Photonics Network の最新研究開発動向
企画委員:柳 秀一氏【NTT アドバンステクノロジ】
■8月1日(金)の講演
【FOE-8】AIデータセンタ構築に向けたLLM/GPUと光回線の最新技術動向
企画委員:和田 悟氏【フジクラ】
【FOE-9】異種材料集積技術の最新動向
企画委員:黒部 立郎氏【古河電気工業】
【FOE-10】AI時代を支える光トランシーバの最新動向
企画委員:布施 由起治氏【古河ファイテルオプティカルコンポーネンツ】
【FOE-11】既設通信光ファイバを用いた光ファイバセンシング基盤の実現に向けて
企画委員:森 浩氏【アンリツ】